塗装工事での養生作業
目次
1. 養生作業について

塗装工事における養生とは、外壁・屋根などを塗装するさいに塗装する部分以外の場所に塗料が付いて、汚れない様に養生シートやコロナシート、マスカー、マスキングテープなどを使って、保護する作業を養生と言います。
この養生作業が塗装前にしっかり行われることによって、塗料による飛散事故を未然に防ぎ、塗装作業の効率を上げて、高品質な安全施工が実現されることが出来ます。
また、こういった塗装作業での養生は、塗装が完全に乾く前に手早くキレイに取り外すとより綺麗に仕上がります。
なぜなら、塗料が硬化して乾燥した状態で養生を剥がすと、養生テープに付着した塗料が固まっているので、マスキングテープと一緒に塗装面の硬化した塗料が剥がれてしまったりします。
また、養生テープのノリが被着体であるサッシ、庇などの付帯に残ってしまったりすることがあるからです。
こういった理由から、塗装作業の施工内容にあった適切な養生作業が、塗装の仕上りを大きく左右するとても重要な作業と言えます。
2. 養生を行わないで塗装工事をすると、どうなるのか?
塗装工事における養生作業の目的は、塗料の飛散防止が主な目的になります。
養生をしないで塗装工事をすると、一体どうなるのでしょうか?

塗装工事を行っていると、どうしても塗料が地面やシャッターやサッシ枠など本来塗らなくて良い部分にまで、塗料が付いてしまう事が毎度あります。
塗装しない箇所へ飛散してしまうと、塗装後に塗料シンナーやラッカーシンナーなどを使って掃除する必要があり、汚した部分の塗料を落とすのは塗装する事より苦労します。
場合によっては塗料の汚れが取れない箇所や塗装をしない部分を傷めてしまう場合があります。
また、塗装が必要な部分と塗装をおこなわない部分の取り合い(ちりぎわ)をきっちりと塗り分けることができなくなります。
それでも時間を掛けてダメ込みをおこなえば出来なくはありませんが、大変時間を費やすかたちになり、現実的な施工方法とは言えません。
その結果、本来塗らなくても良い箇所にまで塗料が飛散してしまって、塗装工事の仕上がりが汚くなってしまいます。
ですから、弊社では大手の現場にて養生講習会へ参加したベテラン職人を必ず現場へ入ってもらいます。
塗料が飛散するとどうなるのか?
特に養生をせずに塗料が周囲(近隣)へ飛散してしまうと、大きなトラブルになってしまう場合があります。
もし仮に塗料が周囲に飛散しても、養生を行っていれば防げますが、もし周辺の建物や車、庭の植木などに塗料が付着してしまったら、近隣トラブルへ発展しかねません。

近隣トラブルになってしまうと、塗装工事以外にものちのちのご近所付き合いや汚損に対する弁償など余計な時間と費用が掛かってしまいます。
そんな飛散トラブルを無くす為、丁寧でな仕事をしている職人は、塗装工事の下準備である養生作業をしっかりと実施しております。
養生作業で使用する主な副資材
それでは、どういった養生材を使っているのかを詳しくお伝えします。

養生メッシュシート(飛散防止ネット)
主に養生メッシュシートとは、建物全体を覆う足場用の飛散防止ネットのことです。
こちらの養生メッシュシートで高圧洗浄時に出る汚水やホコリの飛散防止として利用しながら、塗装時には塗料の飛散対策をおこなってくれます。
それでも飛散が心配される場合は、副資材を使用して養生を実施致します。
養生メッシュシートについては専門職のホームページよりご確認下さい。
明治商工株式会社 (建設仮設資材)
https://www.meijishoko.com/products/sheet
養生マスカー

養生マスカーとは、養生用ビニールと養生テープが一体化した優れものです。
これまでは養生ビニールシートと布テープやマスキングテープをそれぞれ組み合わせて、養生を実施しておりましたが、こちらの養生マスカーを使用すると養生作業時間を大幅に短縮化させることができます。
というのも一度、養生マスカーを貼り付けてシートを広げるだけで養生が終了します。
幅 300/550/1100/1500/1800/2100/2800/3600 mm×長さ25mと用途に応じて使い分けすることも可能です。
基本的に住宅養生で使用するサイズは、550と1100が主となります。
| 用途 | 主なサイズ例(幅×長さ) |
| サッシ回り、ドアの養生 | 550mmx25m |
| 壁一面、床など広い範囲 | 1100mmx25m 1500mmx25m 1800mmx25m 2100mmx25m 2800mmx25m 3600mmx25m |
| 窓枠、床など | 550mmx25m 1100mmx25m 1800mmx25m |
| 狭い部分、細部の養生 | 300mmx25m 550mmx25m |
※その他にも様々なサイズが存在しております。
マスキングテープ

マスキングテープとは、和紙やフィルムなどを素材とする薄いテープで、塗装作業などの際に、塗料が付いてはいけない部分を保護するためのテープです。
塗装後にテープをはがしても、接着剤が残ったり、下地のペイントがはがれることが少ないので、養生の目的で使用されています。
また建築塗装用のマスキングテープは、溶剤に耐性があるので塗料を選ばずに使用が可能。
サイズも多様性があり、粘着力が強い物から弱い物まであり用途にて分かれます。
外装用は粘着力が強い物を使用して、内装では粘着力が弱い物を使用します。
住宅等では軒天では粘着力が弱いマスキングテープを使用したります。
軒天の素材が石膏ボードである事が多く、粘着力が高いマスキングテープを使用すると塗膜をそのまま引っ張ってしまう可能性があります。
マスキングテープを使用する目的として、取り合い(ちりぎわ)等で綺麗に一直線を出して見た目を良くする狙いがあります。
YKコロナシート

次にYKコロナシートをご紹介しますが、コロナとはなんぞや?
上記写真はコロナ処理が施された塗装用養生シートになります。
※ 材質:ポリエチレンで半透明
コロナ処理とは?
コロナ処理とはプラスチックフィルム、紙、金属箔などの処理基材表面をコロナ放電照射により改質させる表面処理技術です。
高周波電源装置から発振された高周波・高電圧が処理ステーションの電極-処理ロール間に印加されるとコロナ放電が生じます。
この放電下を処理基材が通過することでコロナ処理が施され、一般にぬれ性(ぬれ張力)が向上、同時に印刷特性、コーティング特性、貼り合わせ特性等が著しく改善されます。
こちらは養生マスカーと違い、900mm×200m~1800mm×200mと大きな規模を一度で養生する事が可能になります。
コロナシートにはシングルとダブルと2種類の規格があります。
シングルの場合は1枚のシートを広げて使用しますが、ダブルは1枚1枚が重なっている為、重なりを広げて使用します。
単純にシングルの倍は広がり、広範囲を養生する事が可能となります。
ノンスリップシート

ノンスリップシート(グリーン)は主に床養生で使用する事が多く、外部での使用頻度が高く雨風に強い養生シートとなります。
滑り防止加工をしたシートなので通常のポリエチレン養生シートに比べ歩いても滑りにくく、強度のあるノンスリップ加工シートです。
住宅では玄関先、マンションでは共用通路などで使用する事が多いです。
というのも養生マスカーやコロナシートでは人が歩くと破れる可能性が高く、強度に不安が残ります。
上記写真では、室内にてパインシャッターの吹付塗装をおこなうため、より強度が高いノンスリップシートにて万全を期して養生をおこないました。
そんなノンスリップシートですが、用途に応じて色々な規格が準備されています。
| サイズ | 用 途 |
| 幅1000mm × 長さ100m | 床や階段の養生に広く使われます |
| 幅1800mm × 長さ100m | 広い床面などを一気に養生したい場合に便利です。 |
| 幅600mm × 長さ100m | 狭い場所や階段など、取り回しを重視する場合に適しています。 |
| 1100mm × 1100mm | 離型フィルムが付いたもので、部分的な養生に用いられます。 |
| 厚さ | 0.03mm |
| 厚さ | 0.05mm |
今後養生をされている現場を見る機会がありましたら、注意して見てみて下さい。
養生作業のまとめ
これまで簡単に養生作業について説明致しましたが、塗装作業で最も大切な工程になります。
マスキングテープにてライン出しをおこない、養生マスカーやコロナシートで塗装外を保護、安全に通行が出来るようにノンスリップシートで養生をおこないます。
養生をせずに塗装をおこなうと、塗装をしない箇所を汚してしまい、そこの清掃で時間を費やすこととなります。
そうなる前に事前に養生作業をおこない、効率的に塗装作業を実施、1日も早くお客様へ引き渡せるように日々努めております。
これからDIYする方もひと手間の養生作業をおこなうことで、綺麗な仕上がりと効率よく作業を進めれると思います。








